現在ICTを活用した在宅就労(テレワークと総称されています)が進みつつありますが、この働き方は、様々な事情で自宅から外出することが困難な障がいのある方にとっても一つの選択肢であり、また大きな希望になります。 しかし、初めての方にとってこのテレワークと言われる働き方をイメージしていただくことは中々難しいため、業務発注側の皆さん(例えば民間企業)と障がい当事者の皆さんの双方に対してテレワークに関する啓発活動を行いながら業務開拓もして、ご相談があれば直接的なマッチングも行います。

テレワークによる在宅就労とは

 一言でいうと、ICT(情報通信技術)を活用して自宅等勤務先以外の場所で仕事をするスタイル全般を指します。職場に通ってパソコンで作業している方の中には、同じ作業を自宅でできるケースもたくさんあります。 様々な事情で通勤が困難になった社員を在宅勤務スタイルに変更した例もありますし、首都圏では障がい者を在宅勤務社員として募集している企業も多々あります。 そのような在宅勤務社員は終日自宅でパソコンで業務を行い、必要な時だけ出社するようなスタイルで就業しています。
 例えば、首都圏のネット系企業では、CS部門(顧客窓口)に他県の障がい者を在宅勤務社員として雇用している例や、中部地方で障がい者を雇用し、テレワークによって九州を拠点とするグループ会社の業務を担当させている例があります。 テレワークでは距離を克服できることから、先進的な企業では法定雇用率等のコンプライアンスも念頭に置いて既に取り組みを始めています。
 このようにテレワークは、健常者・障がい者を問わず、これまでの働き方を変える一つの手段としても既に始まっていますが、とりわけ障がい者にとって大きな福音に成り得ると考えられます。 このような就業スタイルを可能にするには、「物理的な環境整備(作業に集中できる自室、パソコン、インターネット接続等)」「セキュリティ対策」「労務管理」等の準備・配慮が必要になるといった課題もありますが、企業にアドバイザーを無料で派遣する制度もでき、今後この就労スタイルは急速に進むと思われます。

「テレワークによる在宅就労」に至る6つの道筋

1.在宅勤務社員を募集している一般企業(特例子会社を含む)に応募する
ただし、中には高度なスキルが要求されるケースも多く、例えば沖電気工業㈱の特例子会社の㈱沖ワークウェルの採用条件は下記に掲載されています。
OKIワークウェル
http://www.okiworkwel.co.jp/system/
2.スポット的な請負業務をネット上で探す
最近はネット上で仕事を紹介するマッチングサイトも複数あるため、自分で業務を探す道もあります。  ただし、こちらも高いスキルが必要なケースもありますし、健常者に交じって全国区で争うことになるため競合が激しいケースが多く自己研鑽が必要です。
3.ハローワークの職業訓練を利用
例えば、「NTTデータだいち」が実施しているe-ラーニング(3ヶ月間、Web制作が中心)を受講することにより、「NTTデータだいち」またはそのグループ会社に正社員登用されるケースがあります。
4.公的、または民間の支援組織を活用する
塩尻市の「KADO」 松本市の「女性を対象にした在宅ワーカー養成講座」 等
5.起業する
自ら事業またはサービス、コンテンツを開発し起業する。
インターネットの普及発展により容易になった側面もありますが、一般論としては、依然、法律、経済、心理的な種々のハードルがあるのは事実と言えます。
6.障害者総合支援法に基づく支援事業所を利用する
テレワーク対応している障害者福祉サービス事業所と利用契約を結び、福祉サービスで就労し工賃を得る方法があります。  ただし、福祉サービスにおける就労は、雇用契約ではなく福祉サービスの利用契約に基づく就労(福祉的就労)となる場合が多く、福祉的就労のみで生活をするのは困難な状況です。 (平成27年度の長野県内の福祉サービス事業所(B型)月額平均工賃は14,333円)

「テレワークによる在宅就労」、障がい当事者に求められるもの

  • 自己管理ができること(時間管理、体調管理等)
  • 社会との接点が希薄になりがちで社会性が培われる機会が減るため、積極的な自己啓発が必要
  • 生産性は別として、「品質」面では「障がい者だから」といった甘えは許されない
  • チームメイトなり上司が脇にいないため、発生した課題は解決に向けて自分で行動を起こす必要がある → 報・連・相が特に重要で、在宅型勤務 であっても「対人関係が苦手な方」は、長続きしなかった例があります
  • 孤独な作業であり、それに耐えられること
  • ある程度のパソコン・ネット関連のスキルが必要(業務知識は通常の研修の中で得られますが)
  • 現状、週30時間以上の実働を求められるケースが大半

在宅就労の具体例

在京ネット系企業K社
障がい者が社員登用され、顧客対応部門業務に従事しています。 中部地方の社員は、年に複数回本社等に集合して集団研修を行いますが、通常は終日自宅でパソコンで業務を行っています。 パソコンは「業務用」として会社から貸与されたものを使用し、私用には使いません。 常時K社のサーバーと接続したまま業務に取り組み、セキュリティ上の理由から、仮に業務でネット検索が必要な場合もK社のサーバー経由でのアクセスになります。
在京ネット系企業L社
複数の障がい者が前身企業の時代に社員登用され、投稿監視的な業務を皮切りに業務幅を広げながら現在も引き続き活躍しています。
県内IT系企業
昨年は、ホームページ制作についてかなり高度な技術を有する方を県内のIT系企業に紹介して在宅勤務型で就労していただきました。

テレワークセミナーを実施しました

目的・内容  案内チラシ(PDF)

 今回の開催目的は、長野県内企業にテレワーク文化が浸透することにより(最終的に)重度障がい者等に「テレワーク業務が廻ってくる」ことにありました。 テレワーク分野では全国的に有名な外部講師の方をお招きすることができ、アンケート結果も一定の評価を得られたことから、初回開催としては一定の意義と成果があったものと考えています。 一方、テレワークに関する認識を新たにしていただきたい県内企業からの参加者数は期待を下回り、やはり長野県内企業はまだまだテレワークに対する関心が薄いようです。そのため、テレワーク文化醸成に向けて息の長い地道な啓発活動が必要と感じます。

  • 日本テレワーク協会 今泉千明氏のご講演
  • リクルートオフィスサポート 三井正義氏のご講演

  • ダンクソフト 星野晃一郎氏のご講演

  • 会場風景

「テレワーク」のイメージが掴めないとの声が多くありますので、障がい当事者とその支援者の皆さんを対象に体験会を実施しました。  なお、今回の模擬体験での実作業は、「デザインテンプレートを利用して自分の名刺を作成」し、作品は会場で印刷して当日皆さんに持ち帰っていただきました。

 今回の参加者の中に4名の支援者がいましたが、「在宅就労スタイルを初めて知った」という方がほとんどであり、「障がい者の在宅就労」を進めるにはまず支援者の皆さんに理解していただくことが重要と感じました。 従って、今後は支援者向けの講習を優先させる必要があると感じました。

  • 会場風景

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